2012年12月31日月曜日

「リッツ・カールトンの究極のホスピタリティ 」を読んで

リッツ・カールトンの究極のホスピタリティ

リッツ・カールトンの究極のホスピタリティ

ホスピタリティとは、”おもてなし””心からの思いやり”と訳されとりわけホテル業界でよく使用される言葉だ。ホテル業にかかわらず、サービス業ならばどの仕事にも繋がる話だろう。
サービス業の模範ともいえるブランドを確立したリッツカールトン。
本書は、リッツカールトンの元副支配人が書き下ろした”リッツマンの心意気”を示した本である。接客業・営業に携わる人、いや顧客とかかわる機会がある人ならばぜひとも参考にしたい一冊である。

楽しくなければ成功と言えない
「おはようございます」と挨拶するだけでなく、笑顔とともに「よく眠れましたか?」などと相手の状況に適した言葉を掛けてくれる。これがホスピタリティの原点
・働く人達が楽しくなければ成功ではない。“サービス業の原点”とも言えるだろう。
「甘いこと言ってないで働かせるだけ働かせればいいんだ」という考えの経営者が少なくない。
このマインドは身に染みて分かる。私の職場でも悲壮観を漂わせ職場を後にしていった人は少なくない。目標達成のためには厳しい姿勢で臨まなければならないときもある。しかし、皆「なんのために働いているのか?」自分の胸に手を当てて考えみることが必要ではないだろうか。

悪しき慣習に終止符を!
・いくつかのホテルを経験し、業界の悪しき習慣と呼べるものを目の当たりにしてきた。「これじゃいけないな」と感じることも少なくなかった。
悪しき習慣も解決できるならば解消したい。そうしないと優秀な人たちが集まらないし入ってもがっかりして辞めて行ってしまう。
業界の中に居座り続けるとまわりの環境が見えなくなるときもあるだろう。業界特有の悪しき習慣は直ちに一掃しなければならない。著者の考えにまさに賛同する。
職場改善の観点から言えば、若い世代からの意見、中途採用者からの提案が大切だ。
これらにまさる最良の提案はないだろう。

“もの言わぬお客様”への働きかけ
CS(顧客満足)をCD(顧客感動)にまで引き上げるには願望やニーズを先読みして応える姿勢が大切である。
・リッツカールトンは、お客様へのアプローチがとてもうまく「言葉にされない願望」を感じ取る力に長けている。
・お客様を部屋に案内するまでの間はそのための時間と言える。
顧客感動という言葉は初めて耳にした。顧客満足にとどまらないさらに上にサービスをリッツカールトンは実践しているというのだ。ぜひとも参考にしたいものである。

“なぜ”の徹底分析
・口頭でも書面でも部下から失敗の報告を受けた際に重要なのは、誰がではなく「なぜ」失敗したのかに目を向けること。
どうすれば再発を防げるのかを話し合い問題点を洗い出して解決方法を探ります。
・内容によっては会社単位で運営のシステムを変える必要がある。「誰」でなく「なぜ」を徹底する必要がある。
ロジカルシンキングなどの書籍からは、”なぜ?”を5回繰り返せ!というフレーズを目にしたことがある。あからさまにミスした人間を責めるのではなく、組織の運営体制からひっくり返すつもりで原因分析を反芻させていく。これぞ”リッツ”の方式である。

迷ったらまず行動-お客様の心を読む修行-
・サービス業、特にホテル業界では良かれと思ってやった行動し、たとえその結果失敗したも取り返しのつかないことになることが少ない業界である。
・迷ったら動くこと、動いてお客様に声をかけ「相手の心を読む」ための経験を積むことが大切。
・経験を積むななかで、喜んで頂ける確率高いシチュエーションがだんだん分かるようになる。
ロビーでクリスマスツリーを見ているお客様「写真をお撮りしましょうか?」と伺えば99%喜んで頂けるはず。
・スタッフが恐れずに挑戦し、そこから学んでいけるかどうかは、会社・組織が築いている環境次第である。
リッツカールトンの哲学が分かるシチュエーションが示されている。顧客の行動から願望を察する力を身につけていく。この経験や知恵は実際に実践して身につけていくしかない。迷わず行動せよ!

【まとめ&感想】
大手銀行のお客様係の責任者にリッツカールトンのベルパーソンが採用されたことが有名になった。どの産業にかかわらず、サービスという視点を取り入れ「心のプロ」を必要とする時代が来ているのだ。久しぶりに心に響く本であった。

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