2012年1月21日土曜日

「超図解「財務3表のつながり」で見えてくる会計の勘所」を読んで

超図解「財務3表のつながり」で見えてくる会計の勘所
超図解「財務3表のつながり」で見えてくる会計の勘所

國貞さんの本はわかりやすい。新書の財務3表シリーズがとにかくわかりやすいのだがそれを図解ベースに落としてきてさらにわかりやすくしたもの。減価償却費キャッシュフローの考え方資産計上・費用計上なのかなど、3表をつながりとして考えることの大切さを語っている。

■3つの利益と5つの収益
・本業の利益を営業利益、本業及本業外の活動を合わせて経常的に上がってくる利益を経常利益、そして当期の利益に税引前のものと税引後のものとがある。
販売費・一般販管費とは、人件費、交通費、通信費、事務用品費、のこと。
・経常利益とはケイツネともいわれる。会社が本業及びその他の事業活動により常日頃、経常的に稼ぎ出す利益のこと。この経常的に獲得した利益である。

■PLとBSとCSはどうつながっているのか?
PLの当期純利益BSの利益剰余金のなかの繰越利益剰余金とつながっている。もっと正確にいうと、配当内部留保などが行われ、その後に残った利益がBSの繰越利益剰余金へつながっていく。
・BSの右側は「どのようにお金を集めてきたか」を表し、左側はそれ「どのような形で会社の中に存在しているか」を表している。BSの右側の合計と左側の合計は一致する。
3つの財務諸表は全部つながっており、自由自在に動かすことができる。当期純利益がBSとPLのどことつながっていくのかが理解できる。

■会社を設立して銀行から借り入れをするとPLに変化はあるか?
資本金として50万円のお金を集めてきて、それば今現金のかたちで存在会社で存在するということを表している。
・BSの右側の現金の動きが伴う項目が動くと、基本的にはCSの財務キャッシュフローが動く。

■債務超過とは会社がどんな状態になっているか?
・新たに取引をする場合にまず何をチェックするのか?「その会社がちゃんとお金を払ってくれそうかどうか」を見る指標として流動比率というものがある。
PLの当期利益とBSの利益剰余金はつながっている。すなわり毎年利益を出していれば、利益剰余金が積み増しされている可能性もある。
・毎年赤字の会社はどうなるか?赤字がでている会社は利益剰余金がマイナスになる。
純資産の部がマイナスになっている会社を債務超過の状態になる。BSの左側の資産の部に記載されているがくですべて売却し現金化できたとする。の会社のすべての資産を現金化してみても、これは1年以内に返済しなければいけない流動負債固定負債の一部にしかならない。
つまり、純資産の部がマイナスになっていることをいう。
入社したてのころ、債務超過について理解できていないとよく指導された。言葉尻はわかっていて本質的な意味を理解できていないとの話だ。

■株主資本変動計算書とは何か?
・これらの配当も含めて、期中に何度も変化する株主資本の変化をまとめて表しておくために、株主資本変動計算書なるものから作られることとなった。
通常1年の事業年度のなかでどのような変動要因によってこの株主資本の計数が変化したかを表しのが表したのが株主資本計算書である。

■「費用計上しても現金がでてこない」とはどうゆう意味か?
・期首にコンピューターを40百万購入し、コンピュータを利用して売上を上げるとする。ただし、このコンピュータを使って来年も再来年も売上を上げていく。今期に40万円として計上してしまうと、来年以降はコンピュータの費用が計上されないということになる。
・毎期の損益が正しく計上されなくなってしまうため、そこで考案するために生み出されたのが減価償却の考え方。
・今期、コンピュータの価値の10万円分を使って仕事をしたのだから、減価償却費の計上に対応して、帳簿上のコンピュータの価値が10万円下がる。これでBSのバランスする。
減価償却費もよく概念が理解できずに指導された。この本があれば1冊で理解できただろう。

■PLの5つの利益から会社の特徴がわかる
・販売する商品やサービス自体に競争力がある。つまり売上原価よりかなり高く販売できる。売上高粗利率は業界によって異なるが同じ業界の中で売上高粗利率が高い会社は、
・借入金が少なく営業害費用が少なく、配当や賃貸収入などの営業外収益が多い会社は営業利益より経常利益の方が多い。
基本的な中小企業は営業外費用が営業外収益の方が少ない会社の方が多い。売上高営業利益率より売上高経常利益率のほうが高い会社もある。伝統のある優良企業はこのような形が多い。つまり、毎期の営業キャッシュフローがプラスの会社、つまり本業によってたくさんのキャッシュを生み出してきた会社はそれを借入金の返済に充てるから、営業害費用の支払利息が少なくなる。さらにお金はそのまましておかず、株式や不動産を購入してその配当や賃貸収入などが営業外収益として入ってくる。
どこから利益を得いている会社なのかを見分けるには5つの利益に着目する。

■費用計上か資産計上か?
・社長がだれにも迷惑をかけずに利益を簡単に増やそうとすればまずは役員報酬をゼロにする。そのかわり、短期貸付金で社長への報酬を賄う。もちろん会社にキャッシュがあればの話。
繰延資産も同じように利益操作に使われる場合がある。開発費は、基本的にはその期のPLを悪化させることなく社長に現金を渡せる。
・現金が出ていけば、それはPLの費用として計上され利益が減り、BSの資産としてしまえば、PLを悪化されることなくBSをバランスさせることができる。
・BSの左側の保証金前払費用といった項目に会社をため込んでいる会社がある。莫大な繰延資産を計上していればこの会社は経営が苦しいんだなと思ってほぼ間違いない。
費用計上するか資産計上するかは大きな問題だ。合法的に財務諸表をいじってなんとかすることができる。ある意味グレーゾーンだ。ライブドアなんかは自社株売却益を利益として計上していたことが大きな問題となり、事件となった。

【まとめ&感想】
一企業の財務担当者として、コンサルティング業務の担当者として強い情熱が伝わってくる一冊。財務・会計をわかりやすく理解し、実践するためには必要な1冊。何度も読み返して理解しておきたい。

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