2011年3月5日土曜日

「お金の学校」を読んで

勝間和代のお金の学校―サブプライムに負けない金融リテラシー
勝間和代のお金の学校―サブプライムに負けない金融リテラシー
経済評論家の勝間和代さんがいろんな金融のスペシャリストとの対談した内容を本にしたもの。それにしてもものすごい量の本をだすよね勝間さんは。個人的に竹中平蔵さんとCSRの専門家である大和総研の河口さんとの対談がすごくおもしろかったので、その部分について書こうと思う。
要約・抜粋及び印象に残った部分と感想をレビュー。
■インフレターゲットはやるべき(竹中×勝間)
・いまはモノの値段があがって大変だ・大変だというふうに庶民としては考えるが実はそれでもGDPデフレータを見る限りはマイナスである。インフレもよくないがデフレもよくない。インフレでもデフレでもない状況をつくらなければいけない。それができるのが中央銀行。
中央銀行に目標を課して,それに対して成果を出してもらう.その代わりその目標を実現するためにどうゆう金融政策をするかは中央銀行の自由.だから多くの国でインフレターゲットがとられる.


ンタゲ政策に関しては現在も議論沸騰中。竹中さんをはじめ,高橋洋一さん・飯田泰之さん勝間和代さんとかはすごく肯定的で絶対やるべきだとしている。あと伝説の教授ことイエール大教授の浜田宏一さんも肯定派。

■額に汗して働け・金融こそ頭脳労働(竹中×勝間)
・金融というのは,「汗を流さないであぶく銭を稼ぐものだ」という類の議論がいまだに横行している。日本はモノづくりの国であって一夜にして巨額の富を得るとか,そうゆうギャンブルのような産業には手を出さなくてもいいんだといわんばかりの議論をする人がいるがそれは違う。
・われわれは家でごろごろしていないで,何もしていなかったら「ちゃんと働きなさい」といわれる。でも日本ではお金がゴロゴロ寝ている。限界労働生産性限界資本生産性という話について日本は著しく低い。


日本ではお金がごろごろ寝ているっていい表現だな。これから僕も使わせてもらおう!


■複雑な制度はよくない‐総合課税方式が必要‐(竹中×勝間)
・広い意味での金融の総合課税で税率を20%するとか,そうゆう形にするべき。その代わり投資をした場合の損益を通算させる。まさに総合課税の考え方が大切。今は商品ごとに縦割りだからFXで損したのも,株で得したのも相殺できない。
10%税率もいくつか残っているがこれも含めて全部総合課税の方向にもっていく。
税率を10%まで下げたことでデイトレーダーが出てきたという議論もある。税率10%手数料自由化デイとレーダーがでてきた。それで世の中がうまくまわればいいけどたいがいリスクを取りすぎて破綻するットレーダーが出る。



日本の税制ってほんとに複雑だよね.最近FPの勉強してると特にそう思う.いろんな特例とか複雑すぎる.ベーシックインカムとかにも繋がるのかもしれないけどいろいろ一本化してすごくシンプルにすればいいんじゃないかな.

■アントレプレナーとウーマノミクス(竹中×勝間)
リスクをとれる社会にするためには,やはりベンチャー育成の土壌が必要.この10年を見ても多くのベンチャー企業はニッチ市場で終わっているのではないかという議論もある.大会社のブランドがないと.なかなか取引もしてくれない.マーケットそのもののなかできっちりと評価してくれない.大会社のブランドがあってはじめて評価されるというのがある.
現在新興市場の調子がすごく悪い.なかなかIPOもできないし,IPOもできない.IPOした後もなかず,飛ばずいった企業もある.もちろん新興市場のなかで,循環取引をやったいろいろな不正会計をしてごまかした企業もないとはいわないが,ほかにも真面目な企業がたくさんあるのに,一部のそうゆう不正をしている企業に足を引っ張られることで新興市場そのものが危機になっている.
・実は女性の経済活動が成長に大きく影響している.アメリカでも,ここ20年ぐらいのGDPを見ると実は伸びがほとんど女性のGDPの伸びからとの分析もある.女性の労働までが今までマーケットの外にカウントされてきた.それがマーケットのなかに入ってきてGDPの中にカウントされてくる.


不正会計うんぬんの話ってライブドアのことだよねだぶん.たしかにライブドアショックが新興市場に与えた影響ってすさまじいよね.いま特捜検察の存在意義が問われるけど,ほんライブドアを失った市場は痛いと思う.

■危機意識の低い金融関係者(勝間×河口)
・社会的な潮流としてPRI(投資責任原則)というものがある。これが,2006年に出されて,署名するところが着実に増えている。署名機関が増えている。
サイステイナブルな世の中をつくるためには,われわれのお金の運用からサステイナブルにしないといけない。サステイナブルでない企業がいたら,圧力をかけて環境報告書を出せとかCO2を減らせとか,そういういうことを投資家として言って,していく。企業をサテイナブルにしていく。かつそうゆうところにお金を入れてパフォーマンスを上げるような仕組みを作っていく。というのは当然のスタンスであるが,のうち年金基金は企業年金が2つだけ.あとは金融機関。
・年金は自分たちのお金ではないとう認識がなく,オーナーシップの意識がないから,年金基金側が自分たちのやり方だけでやっている.


自分の支払ったお金がどう社会で有効活用されていくかをしっかりみるって感覚は確かに大切だ.事業仕分けってのもこれの一環でよね.税金の使われ方ももう一回問い直すことだ.

■お金へのアンビバレントな感情をどうかえられるか?(勝間×河口)
・金融がない社会がどれだけ不幸かというのは,途上国に行って実際に見てみるとそごくよく分かる。金融という手段がないためにインフラもつくれないし,サスイナビリティは保てないしすべての人がその日暮らしをしなければならない。金融という機能をひとつもたせれば,備蓄機能はあるし融通機能は出てくるし,交通機能は出てくる。金融とはクロスセクションと異時点間でのモノの資源の移動を可能にすることである。
・日本人はお金儲けに対して非常にアンビバレントな感情がある。街かどのフィランソロピストということで功成をあげて資産をいろんなかたちで社会に還元している人たち人たちを表彰しているが,そうするとやめてくれという人が多い。「そんなところで,表彰して社会にこんな寄付しましたとほめないで」というわけである.


日本人のお金もうけに対する見方は以上な気がする.僕が金融業界の就職活動をしているときもすごい批判的な目線で見てきた人がいた.ただ世の中を変えるツールに過ぎないのに,人前でお金の話をするのはご法度みたいなすごくへんな感覚がある.それは違う.


SRIを日本に根付かせよう(勝間×河口)
SRIがはじまった欧米では,宗教団体などがっちりした中核となった人たちがいたから.ある程度そうした安定的なマーケットがあったからこそ1990年代以降企業の価値はそうゆうホーリリスティックなところで見ていかなければいけないとするCSRが出てきた。特に環境は,ビジネスチャンスでもあり,わかりやすく企業の価値に反映されやすい。
・欧米のように,おばあちゃんから遺産で相続したものを持っていって,それは何かに長期投資するといった発想が日本にはあまりなかった.
・日本人の場合,金融はだだのお金儲けと考えている人があまりに多すぎる。お金儲けの手段というかツールである.このツールが非常に複雑であり,その勉強をすることは非常に難しく,きちっと勉強することは大変である.例えば,銀行に入るとそもそも何の意味があるのかといった哲学教育をせず,仕事を始める.いきなりお札を数えるところから始まる.
SRIは上場企業への投資が多かったのだが,ESGを入れ込むということになると,不動産投資でビルを評価するときに断熱材が入っているとか,無駄なエネルギー消費を抑えたり自発家電をしたりするエコビルかどうかとったようなそうゆう評価の発送が出てくる。今まで財務情報しか流れていなかったところにいかにESGの情報を入れていく。



就職活動をしている際にこのSRIの仕組みについて知った。お金を正しい方向に使うことの意義を考えさせられる。偏ってこりかたまった資金をそうゆう方向に流していく可能性をSRIは示してくれているそんな風に思う。


【まとめ&感想】
僕が金融業界に興味を持ったのは「お金ってなに?」ところにすごく関心があったからである。僕の大学・大学院時代にはいろんなことがあった。小泉旋風・外資ファンドの日本企業買収・ライブドア事件・サブプライムショック・リーマンショック・政権交代・グラミン銀行のユヌスのノーベル賞受賞・事業仕分け・・・。全部お金が関係する問題ばっかり。お金は世の中を変えられる,新たなイノベーションを起こせる起爆剤なんだ。すっごく可能性を秘めている。だけど,その使い方を失敗すれば・・・。本の中には金融教育の話が結構でていたけど,すっごく賛成である.日本の金融教育はほんとにひどい。中高時代はろくに学んだ記憶がない.いい本もない。

僕は正しいお金を使い方を子供たちに教えられる社会人になろう

参考図書はこちら.
敗者のゲーム(新版) なぜ資産運用に勝てないのか
ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理

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