2011年1月25日火曜日

「お金の流れが変わった」を読んで

お金の流れが変わった! (PHP新書)
お金の流れが変わった! (PHP新書)

大前研一さんの本。大前さんを知ったのは高校の時だった。理系出身の経営コンサルタントってことで「平成維新」とか「企業参謀」とかを立ち読みしたことがある。それが初めての出会いだろうか。大前さんは世界的に有名なコンサルタントだそうで、企業参謀とかは英訳されて全世界に読まれいたりしているらしい。一番すごいと思うのが発想力。そんなアイディアがあったのか?と思わずうなってしまう切り口やおもしろい提案が湧いてくる。おもしろかった。さすが大前さん!でも大前さんには「コンサルタントとしては超一流、経営者としてはニ流」なんていう人もいて評価は分かれたりもする。あくまですべてをうのみにするのではなく客観的な視点で読むことは大切だろう。

印象に残った部分は以下の通り。要約・抜粋と感想。

■ホームレスマネーで呼びこんだ
・今のアメリカのようなやり方で成功した国はほとんどない。フランスやイタリア、イギリスなども自民の民間企業を国営化してきたが、大半が失敗に終わった。
FRBのベンバーナンキガイドナー財務長官も「アメリカ経済は底を打った」、「新要回復の兆しが見られる」などと発言したのもやはりホームレスマネーをアメリカに呼び戻すためのフェイントだったと言える。

政治家の発言は経済を動かすというけど確かにバーナンキとかガイドナーは恣意的にやってるんだね。日本の閣僚や日銀にその力はない。

■日本の鉄道は世界売れる
・日本人は気づいていないかもしれないがJR東日本のビジネスモデルは海外で売れる。現時点で日本最強の会社だと考えるのがJR東日本。駅ビル型ショッピングセンターのルミネやアトレや電子マネーのスイカを連動させ、乗客をスイカ一枚で食事やショッピングさらにはバスやタクシーまで利用できるというシステムを作り上げた
・駅中から駅上まですべてが収益に結びつくという日本独自のビジネスモデルは「鉄道は儲からない」の世界常識を覆した。こうなるともはや鉄道事業というよりも、鉄道を含めた地域生活・コミニティ総合サービスである。
・日本の私鉄にも活目すべき点が多い。我が国の鉄道業界は最高の新興国モデルなのである。私鉄というのはディベロッパーであると同時に都市にスラムをつくらない、という優れた役割を持つ。世界中の大都市は押しなべてスラム化の悩みを抱えているがこれは膨大な人口が都心の狭い地域に集中してしまうこと。しかし、日本では郊外から乗り入れる私鉄が半径50キロメートルに分散させてくれた。
・この私鉄モデルはメキシコなど2000万人もの人間が狭い地域にひしめいているところはもちろん、都市部に数百万人の人口を抱える国ならどこでも興味を示すはずである。


日本に住んでると気づかないけどJRがやってるような一体型のサービスって世界では結構めずらしいのかもしれない。スイカで決済サービスを全統合できるところもすごい。JRみたいにもともと図体がでかくて国営で利権を抑えていたからできたのかもしれない。あと、日本って確かにスラム街ってないよね。私鉄のおかげなのかも。

■ワンセットで進出せよ
・鉄道モデルの輸出を考えるときに重要なのは各社レベルではなくワンセットで進出する。日本の鉄道のネックは技術が会社ごとに異なる点。運航技術はJR系、建設は鉄道運輸機構、車両は川崎製鉄、日立製鉄所といった具合に、別々の会社が独自に技術を開発し手掛けている。そのため海外に売り出すときも各社が別々に交渉に出向いてしまうため、パッケージとしての醍醐味は失われてしまう。
・ドイツのフランスにせよ、進出するならワンセットが常識である。今後は高速鉄道で急速に実力と実績をあげている中国が官民一体で世界市場に出てくるはずである。
そうなったら日本も鉄道輸出コンソーシアムのような組織をつくり、車両やオペレーション、ファイナンスまでを含むすべてを一手に引き受ける体制を構築しないと勝てない。
Eコマースを行うためには、携帯会社に協力を仰ぐなどあらゆる企業がその体制に協力する仕組みを整える。携帯一つで鉄道だけじゃなく駅ビルでどこでも買い物ができる。

鉄道を輸出するための戦略、手立てが綴られている。大前さんの発想力が感じられる。日本の高度な鉄道技術をパッケージで輸出する方策。

■経済のサイバー化‐ジャストインタイム‐の衝撃
・大減税で景気回復を果たしたレーガン革命以降の20年間でもっとも大きく変わったのは通信と運輸である。具体的に言えば、通信とITにつながり、宅急便というシステムが一般化する。フェデックス、DHLUPS、ヤマト運輸、佐川急便などを使えば、最速24時間以内に先進国のほぼどこでも荷物を届けることができるようになった。
・このような通信・運輸・金融の変化によって供給者と消費者がジャストインタイムで直接取引ができるようになった。供給者と消費者がジャストインタイムで直接取引することが可能になった。金融の進化は決済方法の多様化を促した。電子マネーやポイントでの支払いが可能になり、その場で現金払いというのは過去の話になった。
アメリカのPCメーカーであるDELLは、注文からわずか48時間で製品を組み立ててしまう。だから配送の時間を考慮しても世界中の顧客が自分の指示通りの製品1週間程度で手にすることができる。スペインのZARAは全世界に4780の店舗を持ちどの店舗にも発注から48時間以内に商品が届くシステムを作り上げた。ZARAはこのシステムを製造面ではトヨタ、物流面ではフェデックスから学んだという。ジャストインタイム方式だと、注文を受けてからの生産を開始すればいいので在庫を持たなくてもよくなる。金利が安いから在庫を多めにもとうという発想はないので在庫をもたなくても良くなる。

IT革命でイノベーションが起こったのは通信、運輸、金融とのことですが確かに同感です。ZARAについては初めて知った。おもしろかった。

■いざという時は相続税免除
・日本のほんとうの金持ちは給与所得者であり、資産化である。個人の固定資産と金融資産の総計は3500兆円とも言われておりここに毎年1%程度の税金をかければ35兆円の税収となる。
・先進国ではイタリアやオーストラリアなどの17カ国が相続税の免除を行っている。理由は高齢者に貯まりやすい資産を若い世代に譲渡して経済を活性化するという知恵である。資産課税をしっかり取れば、相続や贈与は税収中立である。つまり、資産をもらい受けた人が同じ額の税金を払い続けることになる。

相続税って減らしたらまずいんじゃないの?って思ってたけど逆なんだな。どっちにしろ資産課税をかけてんだから、相続税とか贈与税でわざわざ関所をもうけて取る必要ってあんまないのかも。これで若い世代にお金が一杯移って消費がさかんになるそうだ。

カリスマブロガーの書評をどうぞ。

【まとめ&感想】
久しぶりに大前さんの良著に出会えた感覚があった。知的好奇心でどんどんページが進んだ。大前さんの発想力・思考力・情報収集力はすごい。そんな考え方があんのかい!といつも感心させられる。さすが世界規模のコンサルタントですね。これからの投資すべき新興国をあげならがの解説はおもしろかった。一番驚いのはJALJR東日本への売却案と相続税免除である。日本で生活してると分からないけどJRのやっているビジネスモデルって世界に売り出せるほどのすごいスキームなんだなあ。
また、相続税免除のほうが若い世代に一気に金が動くんだとか。結局相続された人、贈与された人が資産課税をしっかり払うんだから問題ないってこと。確かに2重取りする必要はないよね。オーストラリアとかイタリアはすでに相続税免除を実施してるんだからおもしろい。相続税100%案とかもあって議論が23点しているなかで説得力のある内容だった。最後に、個々の企業のビジネスモデルの解説は面白かった。DELLやアパレルメーカーのZARA。ユニリーバや矢崎総業やダイキン工業・ヤマハ発動機など不況でもグローバルな市場で恐るべき実績を残す企業は多いんだね。


最後に大前さんの前著を喰らえ。こっちは進化前って感じ。
マネー力 (PHPビジネス新書)

2011年1月24日月曜日

「まな板の上の鯉、正論を吐く 」を読んで

まな板の上の鯉、正論を吐く (新書y)
まな板の上の鯉、正論を吐く (新書)

高裁の判決を待つ堀江さんが経済や行政やビジネスなど多岐にわたり世論を語るというスタンスの本。ちょっと前の本だけど堀江さんが復活して本とかメディアに出始めた頃に書いた本。堀江さんのすごいところは、「情報収集力」「知識の幅広さ」「粘り強さ」だと思う。プログラマー出身のマニアックさを持ちつつも、やはり経営者的な広い視野をもっている。あとは、他の人ならまあいいやであきらめてしまいそうな、裁判でも徹底的に戦う姿勢を貫いていてる。そこがすごい。

興味をもった部分共感した部分は以下の通り。

■不況に強いビジネスモデル
・未利用不動産の有効活用など。特に居抜き物件(設備・備品をそのまま利用できる物件)である専用サイトはかなり良い。
つまり、減価償却費がほぼゼロ。飲み屋などはこのケースが多い。
勝ち続けるビジネスは難しい。景気の動向に合わせて流れを変える。

できるだけ固定費と価償却費のかからないビジネスがこれからはいいんだね。
大な設備投資とか維持管理費がかかるビジネスモデルはもう時代に合わい。

■日本のお金の使い方について
・所得税率を下げ、法人税率を下げ、消費税をあげる
・新しいイノベーションを生み出してきた企業としてテスラモーターズというベンチャー。
・3時間半充電すると、360キロ走行できるスポーツタイプの電気自動車。
・投資家からお金を集めて、もとに戻す仕組みのどこが悪いのか??
・ソフトバンクはITに特化しているが、いろいろな産業に手を出し、イノベーションを起こすべき。
100%にすべき。相続されていた部分が、消費か寄付にまわる。

法人税を下げて、消費税を下げるのは現政府もその方向に向かいつつあるのでは。ソフトバンクは孫さんの経営哲学の上に成り立っているから、これから大きな勝負にでることはないだろう。ボーだフォンの買収でもう大勝負はやめるといっているし。相続税100%はモリタクさんとか小飼弾さんとかも言っているけど、たしかに財政負担を一気に穴埋めできる魔法の手だな。たしかにお金って生きてる間に全部使うべきものなんだからわざわざ子孫に残すために後生大事にとっておく必要あんのかね。

■教育改革に必要なもの
・英語を公用語にすべき。また、優秀な才能をピックアップして、才能伸ばす仕組みが重要。飛び級は必要。
・大学の研究室を企業化するエコシステムをつくるべき。
・大学の財団がベンチャーに出資してIPOの後売却益をもとに新たな研究開発費に
大学の研究をどんどんスピンアウトてマネタイズする仕組みをつくるべき。
スタンフォード大学の博士2人でつくったGoogleが良い例

堀江さんは、楽天の英語公用語化にもたしか賛成していた。Googleの例は確かにそうだなあ。東大とか京大も巨大な財団つくって自発のベンチャーとかにがんがん投資できるシステムが必要なじゃないのかな。すごい研究が埋もれていってしまう状況にあるのが今の日本かも知れない。

■トヨタの経営に関わるとしたどうする?
・「自動車界のDELL」にする。かつてダウンサウジング化が指摘されていた
IBMはソリューションビジネスに転換することで、復活したことで有名
・各部品がモジュール化されているPCのように安く組み立てるノウハウに特化したDELL。
・トヨタの経営に関わるとしたら、燃料電池メーカーやモーターメーカーを買収するか先端技術に積極的投資を行う


竹中さんと榊原さんの対談本田原総一朗責任編集 2時間でいまがわかる! 絶対こうなる!日本経済で読んだ通りの内容が。IBMとかDELLの経営改革って確かにどこでも評価されてる。強い部分を徹底的に伸ばして、他に部分は切り捨てるもしくは外注する。そういう感覚も日本の企業にも必要なんだ。

 ソニーの経営に関わるとしたらどうする?
・昔のソニーの携帯音楽プレーヤーはテクノロジーデザインも非常に優れていた。
ゲームクリエイターなどの人材に長ける任天堂にはか敵わない。
・GREEなどの新興企業が台頭しておりケータイサイト向けのソフトの開発にも提供がある。
・プレステも引き際早いうちにマイクロソフトに売るべきだった。
IBMTHINKPADのように海外に売るべき。経営のスリム化を図る。
・デジタルコンテンツやニーファイナスに力をいれたい。

ライブドア時代ソニーの買収を目標にしてたという堀江さん。
今やワールドワイドな企なっニーですが日本代表としてこれからも期待。
サムスンに負けるなっで。こんな本も出てるしね。


【まとめ&感想】
ホリエモンさんの考え方が対談形式でわかるいい本だった。いい意味で堀江さんは、思ったことやおかしいことをストレートに語れる人だと思う。だからシンプルで分かりやすい。個人的にはホリエモンさんの宇宙開発事業に期待している。
こちらも必見。こっちは、まだ読んでないんで読んでみよう。
稼げる 超ソーシャルフィルタリング

2011年1月5日水曜日

「超凡思考」を読んで

超凡思考
超凡思考


 岩瀬大輔さんは、昨年の書評「生命保険のカラクリ」でも紹介しましたが、司法試験合格、BCG、ハーバードビジネススクール、ベンチャーであるネット生保副社長すさまじいキャリアを積んできたすごすぎる人。しかも。HBSでは上位5%の成績と言うなんともカリスマ。
 伊藤真さんは、司法試験業界のカリスマで昔はLECの講師だったらしいけど今は伊藤塾設立。
司法試験業界ではずっと前からめちゃくちゃすごい人だったとの話。最近は憲法の話をよくしていて「とても正義感のあるひとだ」なんていつも思っていた。
 なんでこの二人が対談?って話なんだけど、なんと講師と教え子なのだそうだ。岩瀬さんは大学3年間は伊藤先生の授業を受けており、価値観やしゃべり方など強く影響を受けているそうだ。


印象に残った部分は以下の通り。


■もっと夢を語ろう。目標設定の先の熱い思いが人を動かす。【岩瀬】
ライフネット生命を立ち上げたときも、賛同企業、投資家から132億円の資本金を出資して頂き、事業を開始した。これだけお金を集められたのも人に想いの強さがあったからだと感じている。従来の生命保険会社は停滞、閉塞している日本経済の縮図のような存在
ハーバード大学MBAいちばん力を入れているのは社会起業である。実際に、卒業の一割近くが、NPONGOで経営手腕を発揮している。KKRという伝説的な世界最強ファンドの幹部が南米諸国の銀行に対して低所得者向けの貸付事業に乗り出していた。
岩瀬さんと伊藤先生に共通するのは「情熱」と「正義感」だろう。すごく青臭いんだけど、かっこいい。そんな感覚だろう。ライフネット生命が132億円もの資金調達に成功できた大きな要因は頭の良さでもロジカルな語り口でもなく「情熱」だったのかもしれない。

■諦めなければ大丈夫。目標を設定したらすぐやる。その場で始める。【岩瀬】
・コンサルタントの仕事においてある発見があった。いくら専門書を読み込んでもどうしても会計の本質が理解できなかった。実際に企業の向上を視察したときに「ああ、これが在庫か」と妙にしっかり実感できた。工場で働いている人を見て、自分の座学で学んできた会計全体が理解できた気がした。体験こそいちばん効果の高い学習法である、まずは行動、まずは体験。
・新しいビジネスを立ち上げるときも、斬新なアイデアを思いつくのは大変なことである。ネットで生命保険を売るという発想だっていろいろな人が考えてきたことだが行動した人はそんなにいなかった。行動した人が一人勝ちなのである。9割は行動できるかどうか。「やればできるけどやらない」ではない。やることが大切なのだ。
現場に行ってみること、その場ですぐ実行すること、の大切さが語られている。研究活動をやっていてもそうだ。ふらっと現場にいくと新しいアイディアがうかんだり、理解が深まったりする。その感覚が大切なんだ。

■インプットは道半分、アウトプットで情報が定着する【岩瀬】
・インプットした情報をしっかり自分に定着させるためには、意識的にアウトプットする必要がある。100インプットして、50アプトプットするぐらいの勢いが大切。人に教えるという行為はやってみるとなかなか難儀である。教えるという前提があれば、インプットの際も最新の注意を払って臨むこととなる。
・ある本を読んだ時の感銘を書き留めておくことも大切。書くことで情報としてて一着する。書く過程で、本当に自分がその内容を理解しているのか確認することもできる。効果的に理解の度合いを深めることができる。
ブログの良いところは、自分が書いたことに対して、親しい人はもちろん意外な人からちょっとしたリアクションをもらえるところである。そのリアクションをフィードバックすれば、より自分一人でインプットだけしているより効果的である。
私がブログをスタートしてみようと思ったのは、岩瀬さんのこのトピックを読んだのと「ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて」の影響がかなり強い。自分が感じたことや勉強したこと思考のの軌跡を何かのかたちでアウトプットしておくってかなり大切だと思う。ってか勉強も問題集を一気に解くほうがためになったりするし。


■遠回りは遠回りじゃない。好きなものと深く長く付き合う。【岩瀬】
・自分が本当に価値観を共有できる本だけをじっくりと読む。どんなに遠回りに見えても、何度も読み自分のモノのしてしまう。血と肉にするところまで、自分に定着させる。
何事も定着こそが大切。基本的なHBSでの勉強時間は予習3時間、授業1時間が基本的な勉強量だが、復習を12時間しっかりやっておくと断然違う。
新しい情報なり知識を自分のなかにインプットしたときに、内省というかセルフリフレクションの時間をいかに使えるか、が大切。だから映画を観ている時も、もちろん観ているその瞬間も大切だが、一緒に見た人となにを感動したのか、感想を語り合ったりするのがとても大切。素晴らし素材を何回も反芻することがとても大切。
・薄く広い人脈はほとんど意味を見出さない。自分にほんとうに合った人と深く付き合う方がよほど素晴らしいと思う。留学時は、誰もがネットワーク作りに励んでいたが、自分は、とにかく一生ものの友人を5人見つけようと感じ、とくかく少なく濃い関係を作りたいと思っている。
ビジネススクール時代の勉強スタイルが語られていた。ケーススタディ中心の授業であることを踏まえて、予習に力を入れたそうだ。まず十分な勉強時間は足りてますか?自身も自分の胸に手をあてて考えてみる必要がありそうだ。


漠然と接しない。トピックを設定して情報の中にチャンスを得る。
問題意識を持つ人もいる。僕は、どんな些細な情報であっても、そこで何かが感じられるかどうかである。勝負の分かれ目であると考えている。上司から日経新聞を読んだか聞かれ、「読みましたが何かと聞くと」ある新聞記事がいかに大きなビジネスチャンスを秘めているのかを背景から説明してくれたのだ。
・僕の上司は、「感じる力」を持っていた。何気ない新聞記事でも感じ方ひとつで、巨大なビジネスチャンスになる。新聞の小さな記事反応して、行動した人がチャンスになる。「こうゆう情報を知りたい」と常に意識して生活していることで付随する情報、関連する情報も含めて相当量が自分のなかに蓄積されてくる。国際金融やウェブサービスの最新動向もすべて自分のビジネスと関連づけることでニュースの意味合いが変わってくる。
・つまり、いかに自分のテーマを設定するか、である。ひとつあるいは、複数のトピックに関連する情報が自然と自分の集まってくる情報からどんな示唆を組みとれるか、それがどう事業に活かせるか?
・コンサルティング会社の新人時代、常にso what?」(だからなに?)、と言われた。いまでも僕は、情報がどのように具体的に役に立つのかを、自分自身に「ソーワット?」と問いかけながら、考えるようにしている。
情報だけでは役にたたない、それでどうする?という精神がとても大切。情報をパッチワークのように組み合わせていくと人生が実りのあるものになる。
このトピックは非常にかなり共感できた。コンサル会社では「so what?」が口癖だとというが、つまり何が言いたいのか?君はどうしたい?っていうか「落とし所」が大切なんだなあ。でもここで大切なのは圧倒的な情報収集力だと思う。まず知っていなければ、思考をスタートできない。


■メモをとり瞬間ごとに感じる【伊藤】
・具体論・各論にこそヒントが潜んでいる。
・手を動かす行為は脳に直接働きかける行為といわれている。記憶する際も実際に手使いながた覚えると効果的である。
・講演会などでもただ聞いているだけの人がとても多い。あるいは、会社の会議や打ち合わせの際にも、まったくメモを取らずに進行を耳でおっているだけの人がときどきいますが、仕事への意欲を疑いたくなる。
新しい発想やヒントを得たいといつも意識していれば、何げない人の発言のなかにも発見があるはずである。必然的にメモを取ることになるし、こうして意識化・可視化していくことが大切。記憶にも残りやすくなる。
・メモを取る際の黄金のルール。①聞いた瞬間「あれ?」と思った瞬間必ず書き起こしておく。その疑問は抗議が終ったらすぐ解決する。具体例こそメモを取るべし、である。往々にして聞き流してしまがそ、話し手のオリジナリティが込められている。具体例にこそ、相手がわざわざ準備して考えたオリジナリティがある。
つっこみや疑問をメモしながら講演を聞くってのはいいな。具体例にこそエッセンスが込められている。本で読んだり、調べたりした内容を実際にセミナーを聞きながら質問して解決するってもの実践的。

■読書は時間を増やす。すきま時間を有効活用する。【伊藤】
・直接的な経験が追い付かなくても、本を読むことで間接的な経験をして、ひとまわりも、ふたまわりも大きく成長できる。とはいえ、読書の時間自体を確保することが難しいのが、忙しい現代人の悩みである。
・内容としては、抽象論よりも具体例がふんだんに紹介されている本が良い時間としては、といった決まった時間だけでなく、たとえば会社の行き帰りの電車や、ふと空いたわずかな時間を活用するのも手である。特に、短時間で読むのに適した本を常に携帯しておいて「すき間の時間」を有効に使う。知的貪欲さを持ち続ければ、必然的に細切れの隙間時間を使う工夫が生まれてくる
・司法試験の勉強をしている時も、自作の「論文問題模範解答集」を常に携帯しておいて、信号待ち、駅のホームで電車を待つとき、食事がくるまでの間常に目を通していた。
キーワードは「知的貪欲さ」だと思う。何かを知りたい!どうしても詳しくなりたい勉強したいという熱意があれば、自然と空き時間も本や雑誌に手が伸びる。最近その感覚が湧いてくるようになった。

【まとめ&感想】
このブログを始めてみようと思ったのは岩瀬さんにかなり影響を受けている。必死に学んだり興味を持って調べたことをかたちに残したり、書き出してアウトプットすることで定着化していく作業ってすごい大切なんじゃないのか?っていう動機からスタートした。
ライフネット生命は岩瀬大輔さんが率いる駆け出し中のネット生保ベンチャーである。これからも応援したい。そして、資格試験合格法として、伊藤真さんの本もこれから参考にさせて頂きたい。

筆者たちの著作はこちら!
ハーバードMBA留学記 資本主義の士官学校にて
カリスマ塾長が教える 一冊の手帳で試験に合格する勉強法

2011年1月3日月曜日

「日本経済「余命3年」」を読んで

日本経済「余命3年」 <徹底討論>財政危機をどう乗り越えるか
日本経済「余命3年」 <徹底討論>財政危機をどう乗り越えるか

年末実家に帰る列車のなかで一気に読んだ。2~3時間でさっと読んで、結構おもしろかった。
メンバーが強烈。THE郵政民営化の経済学者の竹中さん、NHK出身のアゴラの開設者である経済学者池田信夫さん、「日本の税をどう考える」でおなじみの財政学の専門家である土居さん、今回初めて知ったんだけど日銀出身で社会保障の専門家鈴木さんの対談集である。

IMFが介入する可能性
韓国もギリシャも年金や税制などの改正草案をIMFから提案などの提示を受けたがそのとたんに暴動が起きた。日本でも同じことが起こる可能性はある。
日本は防衛策を講じる策を持っているから大丈夫だけど、毎年審査を受けている。
ギリシャ危機は、ギリシャ国債を買っている金融機関がバランスシートを傷め、金融システム不安が起こるのでは、という懸念に発展した。政府債務残高の問題を解決する方法は、いいかたちで金利をが上昇することである。このような状態になれば、IMFが出てくる可能性は十分ある。

韓国とかギリシャとかアジア通貨危機のときに官僚の汚職とか癒着とか不祥事で無茶苦茶になって国家が破綻状態になったんだね。でも、そのあと10年ぐらいで国で財閥つくってサムスンみたいなサイボーグ企業が出てくるわけだから韓国はそのあとがすごかった。

■国債が暴落する可能性
国債の95%は日本人が買っており、日本の個人金融資産が余っているのだからそれでまかなえる限り大丈夫というのだ。私たち国民は、積極的に国債を選好して買っているのだはなく、銀行に預けているとか、保険として掛けているお金などがあり、それが機関投資家は利益を出すために行動するから愛国心によって損を承知で国債を買い続けることはない
・ギリシャの場合、財務統計を偽っていたことが大きな問題となった。GDP4%程度と発表していた財政赤字が1程度あり、財務残高に統治能力があるのか疑いをかけられることとなった。日本の場合は統計について、そこまでのごまかしはありえないが、いったん不信感が強まればどうなるかは分からない

「絶対こうなる!日本経済」のなかで、国債はまだ発行できるという榊原さんの意見と竹中さんの話からも理解できる内容。国に対する信用の無さが突然のバックラッシュを生むんだな。

■需要と供給を調整するのは価格
市場原理市場メカニズムという言葉が嫌いな人には、「価格を調整する」という言葉を用いて説明する。価格を調整できない状況には不幸なことだと分かる。
・国民にも官僚にも「価格で需要と供給を調整する」という経済学の感覚がなく、「貧しい人を国が援助する」という所得再配分のほうばかりに関心が向いている。保育所が典型であり、納税額に応じて保険料が決まっている。
・そこで大切なのが「支払い意思額」(willing to payの発想。自分で根付けする感覚他の先進国やアジア諸国より劣っているからかもしれない。それでも根つけする能力はあるはずなので、それを生かせばよい。「自分がハッピーになるには自分の欲する価格でモノが得られると良いですね」って話。
・公費がたくさん入っている代わりに、保育所の提供するサービスは金太郎飴みたいな同質の内容イギリスやアメリカでは、かなり高度な教育を行う保育所には大きなニーズがある。10万を払ってでも質のいいものには高く払う。規制緩和により、料金は高いけれど質の高い保育所をつくれば、高齢所得者も負担増に納得ができ、解決の糸口が見つかる

消費者が自ら値段をつける感覚っていうかそういうのがすごく大切なんかな。いいもの質の良いものだったら高い金を払ってでも買うってのもありなんだ。公的なサービスだと均一すぎるからだめって話。日本も豊かになったんだから、教育にももっといろんな階層ができてもいいよね。

■ベーシックインカムの現実性
・今の若者達の反応を見ると、ベーシックインカムへの関心が高まっている。これは最低限の生活を送れるだけの現金を政府が支給するというもの。自分の達の払う税金や保険料が全部年寄りに取られるという被害者意識が強い。年金制度を廃止して、ベーシックインカムにてくれという意見が高まっている。
・とくに、貧富の格差に目くじらを立てる割には、高齢者への手厚い補償を通じていまある、格差が親から子に遺伝することは無頓着である。十分資力がある高齢者にも低所得の高齢者にも、のべつまくなしに社会保障を与えれば、多くの資産を持っている高齢者は年金を全部貯金し、そのまま子に相続させることにつながる。これは、格差の固定化につながる大問題だが議論には上がらない。


ベーシックインカムの話は、山崎元さんとか東さんホリエモンがガンガン主張していて本当に実現すれば税制や社会保障の概念を覆し大きな再構築につながると思う。まだまだハードルは高そう。

■法人税は20%台が適切
グローバル化の問題があり、さずがに財務省の主計局もだんだん分かってきている。高所得者に対する最高税率と似ている高い税率を課しても結局海外に逃げられるだけ。自由な経済活動が保証されている以上、合法的に逃げられても追いかけようがない。
要は恣意的に逃げること考えられるより、日本で税金を払ったほうがマシだと考えられる範囲で税率を設定するのがベスト。
・要は、恣意的に逃げることを考えることよりも日本で税金を払ったほうがマシと思える。これは、ヨーロッパ諸国の税制に関する基本的な考え方でもある。コンサルタントや節税の専門家に高い相談料を払って税逃れされるような高い税率を維持するより、高い税率を維持するより、税率を下げて税金が国庫に入るようにしたほうが良い

「経済成長」で解決される問題がやまほどある。経済学者の間では、法人税の減税と消費税の増税をパッケージにして行う。経済成長してないのに、消費税をかますとさらに景気が悪くなる可能性があるってことだな。消費税って取っぱぐれがないし、薄く広く取れる

■個人主義に根差した制度設計
・日本でサンデルがうけるのは、個人主義やリバタリアンを批判する議論で、日本人にとって受け入れやすいから。サンデルは、本質的な問題は、所得格差ではなく、人々の価値観を支えていたコミニティが崩壊し、社会が個人に分解していることだというサンデルの指摘である。
・国家が全国的な取り組みとしてやったときはそれにのるが、それがなくなると自発的コミュニティのなかからソーシャルキャピタルが生まれてくる。厚生労働省では、これを「地域包括ケア」と呼び、制度化しようとしている。コミュニティの自発的取り組みを厚生労働省が補助金と規制で縛るのはナンセンス
日銀法を改正して、金融政策に対する責任をしっかり負わせる物価目標を決め日銀はきっちりそれを達成する。
・長期の話として、成長力を高めることが大切だとされる。財政再建のためになり、すべての問題解決につながる。それには、法人税の引き下げや規制改革が必要で、とくに規制の仕分けをきちんと行わなければならない。教育改革を一体化して、サプライサイドを強くしながら、貧困対策を中心に社会保障対策を行う。高齢者人口が増大するなかで、年金や医療などの制度設計を間違えるととんでもない負担の増大につながる。教育に関しては、教育バウチャーのようなかたちで、競争メカニズムをいれながら強化していく政策が必要。


思想家の東浩紀さんなんかも、個をベースにして再構築すべきだと結構前から言ってる。社会の再設計っていうかそろそろそんな時代がきている気がするな。社会保障とか相続制度、年金制度の再構築の時代が来ている。


【まとめ&感想】
テレビを見なくなって経済・財政・政策の専門書をガンガン読むようになってからは、竹中さんが言ってることは経済学的にはかなりまっとうなんだって思えるようになった。小泉・竹中改革の害悪とかいっていつもテレビで垂れ流していれば洗脳されちゃう。テレビの害悪ってほんとひどいなって思う。
池田信夫さんとかもすごく勢いのある経済学者で、これからの日本を変革できる逸材であるとすごく期待している。榊原さんとの共著である「田原総一朗責任編集 2時間でいまがわかる! 絶対こうなる!日本経済」に続きいい本だった。


カリスマブロガー達の書評も参考に
金融日記:http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51772528.html
著者池田信夫さんブログ:http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51501114.html
著者たちの力作も必見!
構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌
日本の税をどう見直すか (シリーズ・現代経済研究)
使える経済書100冊 (『資本論』から『ブラック・スワン』まで) (生活人新書)
だまされないための年金・医療・介護入門―社会保障改革の正しい見方・考え方

2011年1月2日日曜日

「ラクをしないと成果はでない」を読んで

ラクをしないと成果は出ない (だいわ文庫)
ラクをしないと成果は出ない (だいわ文庫)

ガッキーファイターこと日垣隆さんの仕事術本。プログラマーでアルファブロガーのブログ「404 Blog Not Found」の運営者Dan kogai氏が勝間さんと日垣さんとの違いは、「歩んできたキャリアの違い」だと書いていた。勝間さんは昨年自己啓発・仕事術で一躍有名になった経済評論家。勝間さんは、19歳で公認会計士に合格しており、一度もキャリアを踏み外したことがない普通にすごい人のように見えてしまうのだそうだ。しかし、日垣さんは違う。本当かどうかわからないけど、自ら「4度の倒産、3度の瀕死体験」と語っており歩んできたキャリアが違うという。つまり、全然だめだった人がどうやって苦悩を乗り越えて生き抜いたか?仕事を勝ち抜いてきたか?が分かるというのだ。そんな視点でこの本を読んでみた。印象に残った部分は以下の通り。


アウトプットしないものはインプットしない
・仕事ができる人は効率よく働く人。言い換えれば、アウトプットしない人は、インプットしない人。つまり、必要なことはやる、それ以外はやらない人のこと。
・例えば、上司と意見が合わないときのプロジェクトのプレゼン資料をつくるときのコツ。必要なことは、「単純に締切までに、上司を満足させる内容を書きあげ、会社で自分の役割を果たすこと」である。
・感情にとらわれず、アウトプットに必要なインプットだけをすることが成功への道。
 ●意味のないこだわりにがんじがらめにならない
確かに世の中無駄な勉強が多い。やりながら勉強するって感覚がすごく大切なんだ。実践しながら、本当に試しながら勉強すると一番身に着くんだ。やりもしないのに机上の空論奏でてんが一番だめ。
数値目標とその根拠を明確に持つ
・数値化してこそ目標は現実になっていく。例えば、マラソンを走るなら自分の年齢、体力、マラソンのスキルを考え合わせて、根拠がしっかりあるものでないといけない。
・一日3時間だとして、年間1000時間など、具体的な数字に落とし込む。さらに、そこまで時間を割いて、毎日継続できるほど好きなものかというのも大切。
  ●一万時間をどうつかいますか?
オフにいかに勉強するのか?がポイントだそうで。天引きした時間を毎日どう投資するかが大切なんだ。。。
気になったらまず買う
生き方でなく興味なら一つより多い方が良い。カジノもギャンブルもやったことがなければ良い、悪いが語れない。ニンテンドーDSもブランド物も気になったら買ってしまう。すると新たな気づきがある。
・例えば、ipodをチェックするようになってよりコンパクトなナノが同じような価格で売られるようになる。そうすると、おもしろいアプリが数十万に達し、iphoneやipadなどの周辺機器にも感度が高くなった。
  ●「買わず嫌い」はもう止めて
興味の幅を広げたり、知識のバリエーションを増やしたりする上で先端機器に手を出してみるって感覚はすごく大切だな。
出欠を迷うイベントにはいかない
迷い続けるのは大抵長大な時間の無駄。義理で誘われたとか、おもしろそうだけど、実は興味の程度が微妙といった催しである。案内状が届いた瞬間「えーどうしようか」と思い始める。鉄則として、イベントは迷ったらいかない。
・こうして人生における自分の優先順位が変わっていく。時間の無駄を省くことにつながる。
  ●義理で出席するほど愚かなことはない
これって今に自分に一番大切なフレーズだなって感じた。結構真面目な人ほど義理とか人情をすごく大切にしてしまう。でも、重要でない行っても行かなくてもたいして変わらないようなイベントへの出欠は即決すべきなんだあ。
「なるほど」と思ったことは24時間以内にケリをつける
創造的な人ほど素直に真似をする。逆にいうと、クリエイティビティに鈍感な人ほど、真似をしない。
・そもそもアイディアはパクリ合いで生まれる。既存のものを見つけて組み合わせることでオリジナリティが出てくる。現状に満足しておらず、もっと成長したいのであれば、妙なプライドは捨てて「なるほと」と思ったことは実践してみること。
ルールは24時間以内にやる。その日のうちに取り入れるのがコツ。その日のうちに相手に交渉する、場所を抑えるという努力をする。即日動いてしまわねば間に合わないこともある。
 ●「いつか」は禁句
アイディアはパクリ合いから生まれるって論文と同じだな。何十もの論文の参考文献を引用したり、真似たりしながら新しい価値を世にアピールしていくのが学術研究。それをいかに早くかたちにするかがポイント。たぶん、仕事でも近い部分はあるだろう。
「何をしないか」を明確にする
・「やらないことリスト」をつくるのがとても大切。ラクに成果を上げるために大切。どの中学校の修学旅行のしおりは、「どんどん加える」という発想でやっているから年々分厚くなっていく。何をしないか、何が不要かという概念がないと仕事量が闇雲に増えてしまう。
・「何をしないか」を決めるときには、対象を冷静に検証するとうまくいく。時には、常識や「真実」とされるものを疑ってみることも大切。
  ●人の一生は、「すべて」をやれるほど長くない
not to do listなどとは良く言ったもの。逆にやらないことをあぶりだして時間を効率化するってことか。人はほっておくと無駄な仕事を作り出す。
■よくわからなかったら現場に行ってみる
「現場を見る」という行為は、捜査に行き詰まった刑事と取材記者の専売特許ではない。例えば、不動産関係の仕事に就いている人が、新たに中間所得者層を狙ったファミリータイプのマンションを開発する、高所得者層をターゲットとしてリゾートマンションを手掛けるといったとき、類似物件を見に行く。
このように、仕事だけでなくちょっと関心のあることは、足を運んでみることが大切。その道の専門家やコンサルタントには何百万円払って受けるアドバイスに匹敵する貴重な情報が得られる。
 ●事件は現場で起こってるんだ
現場は見たもの勝ち。特に統計とか分析スキルに偏りすぎていると現場を見ることをおろそかにしてしまう。見ていないものは語れない。
■人を待たせない、待たされても怒らない
遅刻してきた人を怒ってなにか得があるでしょうか?自分が遅刻した場合を思いだせばわかりますが、普通の良心があればゆったり平然とやってくるわけではない。
待たされても怒らない、この寛大さはプラスになる。待たされるための準備も必要」。読みたい本を入れておく、のんびり商品を選ぶ店を待ち合わせ場所にする、など待ち時間の有効活用はいろいろある。これは当然のルールである。
  ●「そうゆうものだ」と思えば「そうゆうもの」になる
気持ちの持ち方の話。もともと怒らないほうだけど同感!


【まとめ&感想】
こんな感じで100個の原則が書いてある。日垣隆さんを知ったのは最近。構成がしっかりしていて結構おもしろい内容が多かった。さすがジャーナリスト・作家だなって感じ。参考になる内容も多くこれからも期待したい。

こちらも最近文庫版になったらしく必見
こう考えれば、うまくいく。

2011年1月1日土曜日

「日本の大問題が面白いほど解ける本」を読んで


あめましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
昨年最も勉強になった本のレビューです。

高橋洋一さんが書いた財政・経済政策の本。注目のトピックごとに書かれていて結構面白い。最初はこのおっさん誰?って感じだったけど「さらば財務省!」で初めて知ってすごい人だと感じた。プリンストン大学でFRBの議長のバーナンキから薫陶を受ける、小泉内閣で竹中さんの下で実質的なブレーンの役割を果たす、財務省で埋蔵金の存在を明らかにする、など見事な活躍ぶりを見せた。もともと数学科出身だったこともあり、内容や文章がすごくロジカルで分かりやすい。財務省は法学部、経済学部だけでなくキャラ採用で変わった経歴の人を1人・2人採る傾向があるそうだ。
印象に残った部分は以下の通り。

■高速道路無料化が愚策なわけ
・ネットワークで構成され、段階的に課金することは、困難である。しかし、ETCの普及により非常に楽になる。
・世界では、ピーク・ロードプライシングが一般的。激しく混雑するところは、料金を高くとって緩和するのが一般的。アメリカでもヨーロッパでも一般的。
・交通経済政策としても愚策。様々な交通手段が存在するなかで、個別の交通機関に価格介入することは、好ましくない。鉄道から自動車にシフトすることは間違いない。

高速道路無料化には、論点がごちゃまぜになりすぎていて分けわからなくなっている。経済政策的な問題だけでなく、排気ガス、国の財源問題、道路特会の話などごちゃまぜで議論されている。高橋先生の解答は非常に明快!

■周波数オークションは儲かるか?
周波数帯域の利用免許を、競売で電気通信事業者に売却し、事業を行わせる。
・日本版FCCへの評価は別として、電話割り当て性にこだわる日本の電波行政は極めて特殊。周波数オークションはまず1990年代にアメリカではじまり、ヨーロッパなどで次々に導入。
・日本の携帯電話産業は、「ガラパゴス化された」電話行政のもとで有効活用できていない。電波は国民共有の財産であり、有効活用すべき。先端技術が駆使されているためにもったいない。
・現在もっとも活発な産業のひとつに携帯電話やモバイルインターネットがある。
このような分野にどんどん電波を利用させるべき。電波事業のように、さまざま既得権益の保護のために不必要な規制が横行している。東京のキー局が地方のローカル局を支配し、キー局が大手新聞社を支配している。
・この寡占体制に風穴をあけ、地方分権化させるべき。
NTTNTT労組が大反対。新規参入者が多くなることを恐れているから。

電波オークションの話を初めて知ったのは昨年だな。池田信夫さんとかソフトバンクの孫さんがこの辺の話をガンガンやってて期待したい。それにしてもテレビ局を中心にした電波利権ってすごいんだな。

為替介入は円高阻止効果があるのか?
2003年、2004年の為替介入は日銀に金融緩和を促すためだった。
急激に円高ドル安が進めば、下請け企業を含めた輸出産業の収益が悪化し、ひいてはそれが経済全体に悪影響を与える。1980年代の「円高不況」の状態になる。介入はそれ自体に大きな効果はないが、日本政府の意思を伝える効果はある。(アナウンス効果
・国際金融のトリレンマ。
1)固定相場制
(2)金融の自由化政策
(3)自由な資本政策
この三つは、同時に実現できない。合わせて二つのみ。多くの先進国では、(1)を放棄し、(2)(3)をとっている。中国は(1)を選択している。だから、国際的な商取引を組み込むことができない
・日本は長期に渡ってデフレが続いている。デフレから脱却し、インフレ目標によって物価水準を調整し、円高になりにくい経済環境をつくるべきある。政府に為替介入を求めるのではなく、自己責任で為替変動のリスクをヘッジする。

為替介入の話はちょっと難しくて理解できなかった。もうちょい勉強しよう。

■借金返済猶予法案(中小企業金融円滑化法案)は金融危機をまねくか?
・「亀井モラトリアム」は、金融危機の際には、世界的に見て標準の政策。メディアでは大きくとりあがられたが、金融機関の努力義務を促す施策。返済猶予の情報開示・報告させる仕組みのこと日銀が企業の債権を買い取れば良い。さすがに、借金全部チャラというのは無理。
(1) 貸出債権を日銀が買い取る。
企業が倒産した場合に、回収できなくリスクを日銀が背負うことにすれば良い。
金利部分のみを日銀が支払う。
(2)政府が金利部分について保証する。
・企業が金利部分を猶予してもらったのと同じ意味を示す。これだけでは、マネーの供給量は増えないので、金融緩和にはならない。これを、日銀がキャッシュを出して、買い取ることで民間の金融も活性化する

亀井モラトリアムって昨年すごい問題になったけど、結局副大臣の大塚さんが結構違う法律を無理やりつくったんだな。メディアがとんでもない愚策だって騒いでたけど、実際成立した法律は国際的に経済政策としては王道なんだ。あと、日銀の金融機関へのコミットの仕方が2パターンが書いてあって面白い。

■話題の「寄付控除」とは?
・税には、それぞれの機能と目的がある。再分配政策を行う場合、所得税の累進化と相続税の税率アップはセットになる。相続税はなくし、累進課税も高くしないほうが、社会を活性化できる。
・これには、高齢者の間で広がった資産格差を次の世代に残さない機能と目的を持っている。
寄付控除とは、政府に税金の使い方を決めさせるのではなく、支払う人がある程度使い道を決める方式。寄付が社会事業に投じられるのならば、税金をその社会事業に補助金を出したのと同じこと。
・社会の隅々まで役人が仕切ろうとする社会はダメ。東大の安田講堂など、巨額の資産家が自分の名前を残すことで、認めされるべき。相続税と寄付の違いは、国に税をとられるか自分でパブリックな部分に支出するか、の違いだけ。結果として、税金を払うことと同じ。
・政府が縦割りに予算や施策を決めるのは時代遅れ。ニーズが多様化するなかで、捉えきれない。
バウチャー制が具体的な方策。商品券、引換券を配ることで、ニーズに合ったところに使ってもらう。ミルトン・フリードマンが提唱者。
・子供手当もバウチャーにして、用途制限を配るべき。ふるさと納税は、実は税控除を目指して施策だった。税控除を初めて税制に組み込んだ政策。NPOと独立行政法人への寄付を税控除によりできるようにしたかった。

バウチャーって言葉を知ったのも今年だった。教育バウチャーの話は池田信夫さんとかホリエモンさんの本とかブログで書いてあって実現したらおもしろそう。でも実際は労組とかの政治圧力を受けてなかなか実現しないんだあ。やっぱ強力なリーダーシップを持ち首相・内閣なんだろう。

■負の所得税とは
・ミルトン・フリードマンが提唱。政府の役割をできるだけ最少化すべきと提唱した学者。社会保障と税の統合を提唱した理論。
・所得税がマイナス=給付金。つまり。減税などの政策をうつ場合、高所得者は普通に減税になるが、ある一定水準よりも低い所得の人々は所得税が0に振り切れてしまいその恩恵を被ることができない。そこで、給付金を配る。
給付付き税額控除制度。アメリカで1997年に実施。つまり、税額控除という方法で算出した非納税者に給付を所得税制に組み込んだ制度。

負の所得税って数学的だな。確かにロジックは良く分かる。

■地方分権とは?
・実際にそこに住んでいる人が、ダムを建設したほうがいいのか、決めるべき。
上が決めることではない。レベニューポンド(レベニュー債)を有効活用すべし。事業進める手段として、自治体などが特定の事業に対して発行しその事業から得られる収入によってそれを償還するシステム
投資家は本当に収益が得られるのか徹底的にチェックすることになる。本当の意味での事業仕分けになる。民主主義と金融の原理が貫かれている。
・国がやるにしても結局国債を発行して行うのだから、目的が明確な債券を発行して資金を集め関係するすべての人にオープンな形で事業を行うほうがすっきりする。
・やはり、そのためには「道州制」

事業仕分けの正当性とレベニューポンドのあり方が理解できた。なんでもかんでも上をみないとはじまらない行政ってやっぱもうなりたたない。はやく地域主権を!

【まとめ&感想】
目から鱗の内容ばかり。自分の勉強不足を痛感し、筆者の発想力・知識の幅広さ・エコノミストとしての実力を実感した。政策ウォッチャーの代表格としての活躍をこれからも期待したい。
最後に名著を!
さらば財務省! 政権交代を嗤う官僚たちとの訣別 (講談社プラスアルファ文庫)