2012年12月31日月曜日

「99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ」を読んで

99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ
  99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ

前から書籍にならんでいるのは知っていたのだがだんだん売上を伸ばしベストセラーになった本である。初めて聞いた著者であるが参考になる点は非常に多かった。著者の略歴は以下。

日本アイ・ビー・エム株式会社グローバル・ビジネス・サービス事業専務補佐 兼 GBS コンピテンシー開発担当マネージャー。
1997年東京大学文学部卒業。同水泳部主将。
大手広告代理店外資系コンサルティング会社等を経て、2002年より現職。
コンサルティング・サービスからアプリケーション開発・保守までを行うグローバル・ビジネス・サービス事業を束ねるエグゼクティブの補佐と、同事業の全新入社員~3年目社員からなる組織のリーダーを兼務。大企業グループ他複数社の人事制度改革リーダーや、巨大プロジェクトのプロジェクトオフィスリーダーといった豊富な経験を通じて、企業の組織行動変革やコミュニケーション改革、人材育成等を推進。)

「あたりまえじゃん」と思われるフレーズは多い。しかしながら、その解説には含蓄があり、誰しもできていないマネジメントスキルが綴られている。参考にしたい部分をピックアップしてみたい。

とりあえずではなく「まず」を使う
・「お前の仕事は『とりあえず』のやっつけ仕事か?」
・著者が新人時代に上司から言われた一言であるという。
言霊という言葉通り、言葉は相手に与える印象だけでなく自分の行動にも影響を与える。
・「取り急ぎ」・「適当に」などもその例。
言葉は魂をやどるとは文字通り。気持ちは行動に表れる。毎日毎日気を張って生きていかなければならない。

すぐやる
メールや電話での問い合わせがあっても内容を認識しつつ「後で対応しよう」とすることがある。これが大きな落とし穴。
・議事録も資料も体制の整った美しいものが求められ、場合によっては資料説明のためのスケジュール調整まで必要になる。
・「問い合わせのメールを送信し、マウスが手を離れた瞬間に電話がなった」
圧倒的なスピードは人に感動をもって自分を印象づけるのである。
繁忙な職場であれば誰しも出くわす光景であろう。スピードは顧客にとって何よりも最高のCSであったりもする。身にしみて大事にしたいフレーズである。

早朝型を試してみる
上位職になってくると早朝に仕事をしている人の割合は大きく増える。
これは早朝に仕事をする方が効率がいいと感じる人が多いからである。
・早朝であれば電話はかかってこないため考えることに集中できる。頭も冴えていて処理スピードが速い。
4時台に起きて7時まで仕事をしてその後育児を済ませる。
前日に早く寝る。これだけでスタイルに切り替えられる。
私の場合でもそうだが、あれもこれもやろうと思うから夜は遅くなる。割り切ってさっさと寝る。これぞ河野流の仕事のやり方であろう。明日から実践したい。

根回しをする
・根回しも会議を成功させるための立派な事前準備である。
“根回し”の語源とは
    木を移植するに先立ち、根の周囲を切り詰めて細根を発達させておくこと。
    事を行う前に、関係者に意図・事情などを説明しある程度までの了解を得ておくこと。
根回しの意義
(1)  誤解の回避
自分の意図を事前に参加者に伝えることができるため、誤解に基づく当日の反対を回避できる。
(2)  会議の充実
会議の場では集まりにくい各自の本音を事前に把握しておくことで当日の議論の充実を図れる。
営業店で働き始めて”根回しの大切さ”はとても重要であると感じた。1回でできるものではない・いきなり身につけられるものでもない。とにかく経験を積んでいくことが大切なのだ。

ストレス解消の方法を決めていく
仕事のパフォーマンスはストレスの有無に左右される。
自分はこうすればストレスが解消されるというパターンを複数持っておく。
・急なストレスを感じたときに、すぐに実行できるように事前
に持っておく。
私の場合はマラソンである。体にストレスがたまっていると感じたらとにかくもくもくと走る。
あとは温泉とか熱い風呂に入ることぐらいだろうか。とにかくすぐにできるものがいいかもしれない。

エレベータブリーディングを実践する
エレベーターホールで上司を捕まえ自分の伝えたい提案を3分で分かりやすく伝えられるか?をモチーフにしたことわざである。
・核戦争などの緊急事態が起こった際にエレベーターで地下シェルターに降りるまでの3分間をいかに有効に使うか、いう命題
にマッキンゼー社が回答したのが語源。
3分間の基本構成はこうなる。
1)主旨を伝える
(2)選択枝を伝える
(3)判断のポイントを伝える
(4)結論を伝える
(5)確認とアクションの確認をする
相手がうんうんとうなずいているだけの状態がベスト。
・ホウレンソウは必要なときに必要なことだけをしっかり押さえる。丁寧さを気にして目的を見失ってはならない。
要点を短く正確にに伝える。忙しいオフィスではとにかく大切なスキルである。
実践と日々のトレーニングが必要である。
3分で相手にしゃべらせずに流れるように説明することがポイント。相手はうなずくだけ。

おわりに
・日本に住む5000万人の組織人たちが自分の仕事の生産性を1%以上向上させる工夫をしたらこの国はまだいけるのではないか?
この本にかける著者の意気込みが感じられる。著者から現代日本リーマンに向けたメッセージである。

【まとめ&感想】
たいしたことは書いていない。この本を手に取った時の感想だった。しかし、やはり読めば読むほど奥は深い。くだらないだけどすごく大切なのだ。ひとつひとつ実践したいスキルである。



「リッツ・カールトンの究極のホスピタリティ 」を読んで

リッツ・カールトンの究極のホスピタリティ

リッツ・カールトンの究極のホスピタリティ

ホスピタリティとは、”おもてなし””心からの思いやり”と訳されとりわけホテル業界でよく使用される言葉だ。ホテル業にかかわらず、サービス業ならばどの仕事にも繋がる話だろう。
サービス業の模範ともいえるブランドを確立したリッツカールトン。
本書は、リッツカールトンの元副支配人が書き下ろした”リッツマンの心意気”を示した本である。接客業・営業に携わる人、いや顧客とかかわる機会がある人ならばぜひとも参考にしたい一冊である。

楽しくなければ成功と言えない
「おはようございます」と挨拶するだけでなく、笑顔とともに「よく眠れましたか?」などと相手の状況に適した言葉を掛けてくれる。これがホスピタリティの原点
・働く人達が楽しくなければ成功ではない。“サービス業の原点”とも言えるだろう。
「甘いこと言ってないで働かせるだけ働かせればいいんだ」という考えの経営者が少なくない。
このマインドは身に染みて分かる。私の職場でも悲壮観を漂わせ職場を後にしていった人は少なくない。目標達成のためには厳しい姿勢で臨まなければならないときもある。しかし、皆「なんのために働いているのか?」自分の胸に手を当てて考えみることが必要ではないだろうか。

悪しき慣習に終止符を!
・いくつかのホテルを経験し、業界の悪しき習慣と呼べるものを目の当たりにしてきた。「これじゃいけないな」と感じることも少なくなかった。
悪しき習慣も解決できるならば解消したい。そうしないと優秀な人たちが集まらないし入ってもがっかりして辞めて行ってしまう。
業界の中に居座り続けるとまわりの環境が見えなくなるときもあるだろう。業界特有の悪しき習慣は直ちに一掃しなければならない。著者の考えにまさに賛同する。
職場改善の観点から言えば、若い世代からの意見、中途採用者からの提案が大切だ。
これらにまさる最良の提案はないだろう。

“もの言わぬお客様”への働きかけ
CS(顧客満足)をCD(顧客感動)にまで引き上げるには願望やニーズを先読みして応える姿勢が大切である。
・リッツカールトンは、お客様へのアプローチがとてもうまく「言葉にされない願望」を感じ取る力に長けている。
・お客様を部屋に案内するまでの間はそのための時間と言える。
顧客感動という言葉は初めて耳にした。顧客満足にとどまらないさらに上にサービスをリッツカールトンは実践しているというのだ。ぜひとも参考にしたいものである。

“なぜ”の徹底分析
・口頭でも書面でも部下から失敗の報告を受けた際に重要なのは、誰がではなく「なぜ」失敗したのかに目を向けること。
どうすれば再発を防げるのかを話し合い問題点を洗い出して解決方法を探ります。
・内容によっては会社単位で運営のシステムを変える必要がある。「誰」でなく「なぜ」を徹底する必要がある。
ロジカルシンキングなどの書籍からは、”なぜ?”を5回繰り返せ!というフレーズを目にしたことがある。あからさまにミスした人間を責めるのではなく、組織の運営体制からひっくり返すつもりで原因分析を反芻させていく。これぞ”リッツ”の方式である。

迷ったらまず行動-お客様の心を読む修行-
・サービス業、特にホテル業界では良かれと思ってやった行動し、たとえその結果失敗したも取り返しのつかないことになることが少ない業界である。
・迷ったら動くこと、動いてお客様に声をかけ「相手の心を読む」ための経験を積むことが大切。
・経験を積むななかで、喜んで頂ける確率高いシチュエーションがだんだん分かるようになる。
ロビーでクリスマスツリーを見ているお客様「写真をお撮りしましょうか?」と伺えば99%喜んで頂けるはず。
・スタッフが恐れずに挑戦し、そこから学んでいけるかどうかは、会社・組織が築いている環境次第である。
リッツカールトンの哲学が分かるシチュエーションが示されている。顧客の行動から願望を察する力を身につけていく。この経験や知恵は実際に実践して身につけていくしかない。迷わず行動せよ!

【まとめ&感想】
大手銀行のお客様係の責任者にリッツカールトンのベルパーソンが採用されたことが有名になった。どの産業にかかわらず、サービスという視点を取り入れ「心のプロ」を必要とする時代が来ているのだ。久しぶりに心に響く本であった。

2012年4月7日土曜日

「グローバル資本主義を卒業した僕の選択と結論」を読んで

グローバル資本主義を卒業した僕の選択と結論
グローバル資本主義を卒業した僕の選択と結論

書店でなんかおもしろそうなタイトルにひかれてパラパラめくった本。
石井さんは今まで知らなかったけど慶応幼稚舎っていう本を出したり、外銀から幼児教育の業界にシフトしたことで知られる。

■初歩的なことほどためらわず聞く
・人の考える力は質問する回数に比例する。
・なぜ?ほんとうに?どうやって?という気持ちが少しでも生じたらそれを必ずスッキリさせる
知っている人が目の前にいたら質問攻めにする。
・知的なトレーニングを積んでいる人なら素朴な疑問に対して、目かウロコの答えをくれるだろう。
外資系投資銀行にいた際に筆者の苦労が良くかかる。ぎこちない英語で話しかけ仕事をものにしていった筆者の過去が良くわかる。

■傾向と対策の徹底
・日本の受験で培われる傾向と対策は仕事で役立つ基本的なスキル。
過去のデータを分析して、自分の重点課題を考え、そのクリアに向かって効果的な方法を工夫する。
要因を分析し、どこにエネルギーを注ぎ込むか決める。
受験を徹底して肯定する筆者の姿はなかなかおもしろい。たしかに東大医学部が語るならわからなくもない。

■人に教えられるレベル
・自分は分かったと思っていても、実は分かったつもりになっているだけできちんと理解していないことがある。
「分かった」とは、どのような状態を指すのか?僕の定義では、同じこと類似のことを何度でも繰り返してできる状態を意味する。すなわち「再現性」がある状態のこと。
頭脳労働型の仕事本当に分かったというレベルに到達するためには、他人に教えるということが大切である。
・人に教える機会がない場合でも教えるつもりで何を聞かれても答えられるレベルを目指す。
言葉に発して人に教えられるレベルにするという感覚がすごく大切。中学や高校受験勉強をやっている際にこの感覚の大切さについて学んだ。

■常識に風穴をあける
常識や業界の慣習ほどダメな人たちの言い訳に使われる。
「当然のこと」と信じていることに疑いの目を向けそれが本当に適切なのか根本的に考え直し、前例の有無などを気にしないで、ベストな方法を取り入れる。
常識を理由にことを終わらせないようにする。

■衝動を大切をする
・自分の中の衝動や勢いを大切にすること。自分に妥協することを覚えた人よりも、若気の至りで突走るクセがある人の方が自分にとって快適な場所を見つけられる確率が高い。
・衝動のような強い思いと、勢いがないと新しい世界は開かれない。
世の中を動かすのは確かに衝動だろう。時代を切り開いてきた人たちはみんな衝動に駆られて動いてきた。

■芋づるは一気に引っ張る
・自分の知識や思考法バージョンアップしてくれる発見があったらそれを追跡してくいく。
・そこにはイモが連なっているかもしれない。大きなイモが出てこなかったらあの時引っ張らなかっららという後悔が残らないようにする。
時間と費用が予定オーバーになったとしても、足を延ばしみるようにしている。
福沢諭吉の学問のススメに感動し、生まれ故郷や墓にまで訪れた著者の心意気が良くわかる。
興味を持ったものはとことん引っ張り上げて調べてみる体験してみるこの衝動と行動力が大切なのだろう。

【まとめ&感想】
・筆者の生き様のわかる著書だった。また石井さんに興味を持つきったけとなる一冊であった。